感動の野球漫画H2!主人公たちの成長と絆に心を打たれる

高校野球の甲子園を舞台に繰り広げられる、感動の野球漫画「H2」。主人公たちの成長や絆、友情などを描きながら、熱く激しい試合が展開されます。野球のルールを知らなくても楽しめる、心に響くストーリーと、個性豊かなキャラクターたちの魅力に心を打たれること間違いなしです。今回は、「H2」の魅力やストーリーを詳しく紹介します。

概説

「H2」という漫画は、高校野球をテーマにした長編漫画であり、2人の野球少年と2人のヒロインの青春と恋を描いている。小学館:少年サンデーコミックスより全34巻、同ワイド版より全17巻、小学館文庫より全20巻が出版され、シリーズ累計発行部数は5500万部を突破している。アニメ版や実写ドラマ版も制作されている。

あらすじ

「H2」は、比呂と英雄の2人の野球少年と、英雄のガールフレンドであり比呂の幼なじみのひかり、比呂が進学先の千川高校で出会った古賀春華を中心に話が展開する。比呂と英雄は中学野球で地区大会二連覇を果たすが、医師から肘と腰にそれぞれ爆弾を持っていると診断され、野球を断念。英雄がひかりとともに野球の名門・明和第一高校へ進学したのに対し、比呂と野田は野球部の無い千川高校に進み、それぞれサッカー、水泳に取り組むことにした。

千川高校に野球部はなかったが、実は「野球愛好会」が細々と活動していた。比呂は、ひょんなことから行われることになったサッカー部と野球愛好会との野球の試合に参加するも、試合中のサッカー部員たちの野球を馬鹿にした態度を嫌い、その場でサッカー部を退部し野球愛好会へ入会する。そして、千川高校にて甲子園出場を果たすことを決意。「野球部」への昇格を目指すことになるが、校長が高校野球嫌いのために断られ続けていることを知る。

比呂と野田は校長の息子にして名二塁手でもある柳守道の協力を得ながら、明和一との試合に勝つという校長の提示した無理難題に挑む。こうして出来上がった千川高校野球部は、マネージャー・古賀春華の兄の古賀富士夫を監督に迎えて本格稼働する。比呂たちは2年生に進級し、英雄の幼なじみである佐川周二ら新入生を加えた千川高校野球部は地区大会を勝ち進む。

そして、最後の夏、千川は北東京大会で、明和一は南東京大会でそれぞれ優勝。甲子園でも準々決勝に進出し、突破すれば準決勝で明和一との対決となる組み合わせが決まる。比呂と英雄の直接対決は、両校が甲子園出場を果たさない限り実現しない。

物語は、比呂と英雄の対決を中心に、彼らとひかり、春華たちの成長や恋愛模様を描きながら、彼らが夢見た甲子園出場を目指す姿を追い続ける。

登場人物

国見 比呂(くにみ ひろ)
比呂は「H2」の主人公であり、千川高校の3年生である。ひかりと野田は幼なじみであり、中学時代から豪速球で名を馳せた投手だったが、上武医師の「3ヵ月で確実に肘が壊れる」という言葉を受け、野球への未練を断ち切るため野球部のない千川高校へ進学し、サッカー部に所属した。サッカー部と野球愛好会との野球の試合で、サッカー部の野球を侮辱するような言動に耐え兼ね、試合中に退部して野球愛好会に入会した。その後上武医師の無免許が発覚、診断が間違ったものだと知り、本格的に野球を再開することになった。

比呂は150km/hを超えるストレートや、変化球を持ち球とし、抜群のコントロールとフィールディングも兼ね備える超高校級投手である。対英雄の切り札として野田も捕球に困るキレの高速スライダーも覚えた。バッティングも非凡で足も速く、中・高を通して3番を打つ。特に打撃に集中する状況での打撃は卓越しており、中学時代のサヨナラ安打数は英雄のものよりも多かった。暑さに強く、ひかりの誕生日である8月16日には一度も負けたことがなかったが、2年生時の夏の甲子園2回戦で初めて敗北を喫した。

比呂は意地っ張りであり、他人から気を遣われることを避ける性格である。ガサツだが他人に気を遣うところもある。大したことがない時は大騒ぎするが、本当に辛い時は誰にも言わない。そうした気質は野球においてだけでなく、恋愛をはじめとする私生活においても発揮される。

野球の試合ではプレイ自体を楽しむタイプで、勝敗はあくまでその結果に過ぎない。比呂はどんなピンチも野球の楽しみに変えてしまう、野球大好き少年である。

当初より春華に好意を寄せられ、自身も春華に抱いた好感が男女のものに変わりつつあるのに気付いていた。春華への恋愛感情は、米国帰りで春華をストレートにも変化球的にも狙う三善とのやりとりを機にはっきり自覚する。一方でひかりの事を思う気持ちも強く、表には出さないものの複雑な思い、あるいは煮え切らない思いを抱える状態が続いた。ひかり、英雄との関係に決着を付けた後は、春華と未来をともにすることが示唆される。

橘 英雄(たちばな ひでお)
明和第一高校野球部の4番バッターである英雄は、天性のスラッガーであり、守備もうまく、強肩の持ち主です。彼は、小学校時代は練習嫌いでしたが、中学1年の紅白戦で比呂から三振を奪われたことをきっかけに猛練習を重ねるようになりました。

彼は、普段は大人びて落ち着きのある性格で、背伸びをして人から弱みを隠そうとするタイプでもあります。また、勝負事にはシビアで、融通が利かない傾向があります。

彼の実家は酒屋であるため、家族全員が酒に弱く、飲酒した監督が向き合った際に不用意に放ったゲップや匂いだけで、30分から1時間近く酔ってしまうことがあります。間違って飲んでしまった場合は、翌朝にはほとんどの記憶が飛んでしまうそうです。

彼は、心から比呂を親友だと思っており、また比呂の大ファンでもあります。野球では自他ともに認める比呂のライバルです。彼は、ひかりとは周囲公認の交際をしており、中学1年生の時に比呂からひかりを紹介してもらったが、ませていたために照れて緊張してしまい、しばらくは比呂が2人の仲をとりもっていたというエピソードがあります。

彼は、だれよりも強くなりたいと願い、野球と恋愛の両方での決着が近づく中、比呂になら負けても自分を許してしまいそうだからこそ、絶対に負けるわけにはいかないと決意します。甲子園での比呂との対決を前にし、そこでひかりにもう一度自分か比呂かを選ばせようとするも、野球の勝負に敗れてひかりから身を引こうとします。しかし、海辺で1人悄然としているところを探しに来たひかりに発見され、改めてひかりと向き合うことになります。

雨宮 ひかり(あまみや ひかり)
ひかりは明和第一高校の野球部マネージャーで、幼馴染の比呂と野球をすることが好きで、よくキャッチボールの相手をしていた。ひかりが中学に進学すると、比呂の紹介で英雄と付き合うようになった。ひかりは英雄のことを「ヒデちゃん」と呼んでいる。ひかりは弓道部にも所属しており、夏季限定で明和第一野球部にもマネージャーとして籍を置いている。ひかりはミス明和に選ばれていて、成績も優秀で家事も万能である。将来の夢はスポーツ記者になること。

ひかりはしっかり者で、中学生の時からおませな性格であった。相当な人間観察力を持ち、他人の長所を見つけるために活かしており、「人の悪口を言えない」と言われている。ひかりは英雄との交際に微妙な距離感を感じており、比呂が自身のことを好きだったことには気付いていなかったが、同時にひかり自身も比呂に心の奥底では好意を抱いていた。しかし、比呂自身を弟分のように思っていたのと、先に英雄と出会った為に恋心に気付いていなかった。

高校に進学後、ひかりは比呂に再び好意を持つようになる。英雄との関係に悩み、比呂との距離も微妙なものとなっていた。伊羽商戦の敗退後、比呂から初恋がひかりであるという本心の告白を受ける。比呂はひかりに英雄を紹介する自分、ひかりのことを考えると大好きな親友を嫌いになってしまう自分、思春期が1年半ズレていた等の述懐を受け、更にひかりの誕生日に負けてしまったこと、英雄との勝負に挑めないことに涙を流す比呂を抱きしめる。姉弟同然だった比呂が一人前の男として自分と向き合おうとしていると気が付いて心を揺らすが、英雄は間違いなく自分の初恋の相手で現在も愛しているため、比呂への想いに整理をつけようとするが、比呂への想いがどうしても残ってしまい、2度比呂に「応えられない」ことを告げていた。

古賀 春華(こが はるか)
春華は千川高校野球部のマネージャーで、古賀商事の社長令嬢。美人で人柄も良く、男女問わず人気があり、野球部を創設させる立役者となる。将来の夢は女優かスチュワーデスで、真剣に勉強している。恋には憧れがあるが、比呂に出会うまではまともな男性に縁がなかった。比呂から今自分が高校で野球を頑張れているのは春華のおかげだと伝えられる。

野田 敦(のだ あつし)
捕手であり、バッテリーを組む比呂からの信頼が厚い。朗らかで冗談好きな一面もあり、野球に関する知識も豊富。長打力があり、甲子園で明和一のエースから唯一のホームランを放つ。比呂のプロ進出には懐疑的だったが、彼の飛躍を見届け、高校卒業後は大学進学を考えている。

木根 竜太郎(きね りゅうたろう)
中堅手・投手であり、走攻守の三拍子揃ったセンターで1番を打ちます。彼はかつてサッカー部のエースストライカーでしたが、後に野球部に加入し、3年夏の甲子園で先発投手を務め、完投勝利を収めました。彼は努力家であり、掛布に憧れて左打ちだったが、後に右打ちと両打ちになりました。彼は小山内美歩と付き合い、便所掃除をさせたら日本一と言われています。

柳 守道(やなぎ もりみち)
柳 守道は千川高校の二塁手としても活躍しており、軽快な守備と広角に打ち分けるバッティングが特徴的です。また、成績が優秀で、絵の才能を持っており、クラスメイトやチームメイトからも人望があります。高校野球嫌いだった父親との約束で、野球は中学までで高校ではやらない約束をしていたが、比呂たちの説得によって野球部に入部し、木根、柳の1、2番コンビや柳、佐川の二遊間とともに活躍しました。また、春華に好意を持っていたものの、比呂と春華の仲を応援していました。

佐川 周二(さがわ しゅうじ)
佐川周二は、比呂と同じく千川高校の遊撃手であり、英雄の幼馴染みです。野球センスが高く、俊足強肩のショートで、打撃でも好打者です。千川高校に入学する前は静岡に住んでおり、かつて栄京の広田と同じ美富士中学校にいましたが、広田に濡れ衣を着せられ野球部を追い出された過去があります。しかし、兄とのわだかまりを解いたことで野球の再開を決意し、千川高校に入学します。

島 オサム(しま オサム)
島は千川高校野球部の左翼手で、広田のスパイとして入部したが、父親が広田家からの支援を断ったことでスパイを続ける必要がなくなり、大竹や佐川とともに野球に打ち込むようになる。俊足でエラーは多いが守備範囲の広さは一流。中学時代は陸上部に在籍していたが、噂によるいじめに嫌気をさして辞めた。野球経験がなかったが、練習を重ねて俊足を買われ、1年途中からレフトを守るようになる。変化球打ちが得意で、1年時に9番、2年時には8番を打っていた。

大竹 文雄(おおたけ ふみお)
島と同じく栄京・広田の従兄弟で、スパイとして千川高校野球部に入部。初めは打席で空振りが多かったが、トレーニングの成果からパワーヒッターとして成長。チーム随一の長打力を持ち、ライトやファーストで打つ。中学時代にはボクシングをしていたことから、比呂の速球にも怯まずにいられる。また、顔面の打撲の応急処置も得意。

古賀 富士夫(こが ふじお)
古賀商事の運転手で、春華の兄である野球部監督は、携帯テレビを使って甲子園の試合を観戦しながら喫茶店で熱くなるようで、偶然居合わせた柳校長にその時の発言を聞かれ、気に入られて監督に就任する。基本的にはとぼけた性格だが、野球は教育の一環と考え、大局を見据えた采配を心掛けている節があり、指揮官としての優れた手腕も時折発揮する。

テレビアニメ版

1995年6月1日から1996年3月21日まで、朝日放送(ABC)制作、テレビ朝日系列で毎週木曜日19:00〜19:30に放送された。

キャスト

テレビドラマ版

『H2〜君といた日々』(エイチツーきみといたひび)は、2005年1月13日から3月24日まで毎週木曜日22:00〜22:54にTBS系「木曜10時枠」で放送された日本のテレビドラマです。主演は山田孝之さんです。

キャスト・主要人物

 

H2の感想レビュー

クマ父クマ父

あだち充の漫画『H2』は、野球漫画としても青春漫画としても楽しめる名作です。物語の中心には、中学時代に野球を断念せざるを得なかった主人公・比呂と、親友で野球の才能に恵まれた英雄がいます。彼らを取り巻くのは、比呂の幼馴染であるひかりと、野球部のマネージャーであるはるかの二人の女性たちです。物語は、彼らが高校生になり、野球部を作ることを目指す比呂と、英雄が甲子園で活躍する様子を描きます。

物語の中で最も注目されるのは、比呂とひかり、そして英雄とはるかの恋愛模様です。中学時代から英雄と付き合っているひかりは、比呂との出会いをきっかけに、徐々に彼に惹かれていきます。一方、はるかもまた、比呂に好意を寄せています。二人の女性たちがそれぞれ誰を選ぶのか、そして、比呂と英雄の友情にどのような影響を与えるのか、物語を通してドキドキしながら楽しむことができます。

野球の描写も、非常にリアルで迫力があります。試合の展開や選手たちの心理描写など、野球ファンにはたまらない要素が満載です。また、物語の中には、比呂とひかりが子供の頃の思い出を振り返るシーンもあります。ひかりのお母さんが突然亡くなった場面では、感動的なキャッチボールのシーンが描かれており、涙を誘われることでしょう。

『H2』は、野球漫画としても青春漫画としても、魅力的な作品です。野球の試合や恋愛模様に、心を奪われること間違いなしです。物語を読み終えた後も、しばらく余韻に浸ることができる、素晴らしい漫画です。