
今回は、『ダーウィン事変』という漫画について紹介したいと思います。この漫画は、人間とチンパンジーの間から生まれた「ヒューマンジー」の少年チャーリーと、彼を取り巻く家族や友人、敵対者たちの物語です。アメリカを舞台に、「テロ」「炎上」「差別」など、現代社会の問題に直面しながらも、「ヒト」と「ヒト以外」の境界を超えた絆や友情を描いています。
私はこの漫画を読んで、チャーリーの成長や苦悩、勇気や優しさに感動しました。また、登場人物たちもそれぞれ個性的で魅力的でした。特にチャーリーは、人間でもチンパンジーでもない存在として、どんな動物なのか気になりました。そこで今回は、この漫画に登場する主要なキャラクターの特徴や能力、関係性などを紹介していきたいと思います。チャーリーはどんな動物なのかも説明しますね。
漫画の紹介
作者
『ダーウィン事変』の作者は、うめざわしゅんさんです。過去には、「もう人間」という生命倫理を問う作品を発表したこともあります。本作では、「ヒューマンジー」という大きな嘘が据えられている分、ほかの部分はリアルに描こうと考えたそうです。
出版社
『ダーウィン事変』は、講談社から出版されています。『月刊アフタヌーン』にて2020年8月号から連載中です。単行本は現在5巻まで発売されています。
ジャンル
『ダーウィン事変』のジャンルは、サスペンスアクションや社会派サスペンスと言えるでしょう。人間と動物の生存権をテーマにした、思考実験的な物語です。
あらすじ
人間とチンパンジーから生まれた少年・チャーリーは、人間の両親のもとで育てられ、「優れた頭脳と身体能力の持ち主」に成長しました。高校に入学したチャーリーは、人から「陰キャ(ナード)」と揶揄されるが頭脳明晰な少女・ルーシーと出会い、友情を育んでいきました。しかし動物解放を求めてテロ活動を繰り返している“ALA”(動物解放同盟)が、チャーリーを仲間に加え、テロに引っ張り出そうと画策し、過激な手段に出ます。それにより町の人々は、チャーリーとその家族に対する態度を変えていきます。
登場人物の紹介
チャーリー
本作の主人公です。猿に近い風貌をしています。人間の父親とチンパンジーの母親の間に生まれた「ヒューマンジー」で、15歳の少年です。アメリカ中西部、ミズーリ州在住です。
チャーリーは、人間でもチンパンジーでもない交雑種により、人間よりも賢く、チンパンジー以上の運動能力を持っています。彼は数々の窮地から友人を救い、人間とは違う視点から鋭い一言を作中で読者に突き付けます。
チャーリーは法的な人権がなく、公的には「物」として扱われています。しかし彼は自分が「ヒト」であることを強く主張し、自分の居場所や存在意義を探しています。彼は家族や友人を大切にし、優しく勇気ある少年です。
チャーリーはどんな動物なのでしょうか?彼は人間とチンパンジーの間から生まれた「ヒューマンジー」ですが、実際にはそんな存在はあり得ないと言われています。人間とチンパンジーは遺伝的にかなり離れており、交配することも子孫を残すこともできません。しかし本作では、「ダーウィン事変」と呼ばれる現象が起こり、人間と動物の遺伝子が混ざり合うことが可能になったという設定です。その結果、チャーリーのような「ヒューマンジー」や他の種類の「ヒュブリッド」が誕生したのです。
ルーシー・エルドレッド
頭脳明晰だが、コミュニケーションが苦手な少女です。チャーリーたちが通うシュルーズ・ハイスクールに通っています。猫を助けるために登った木から落ちそうになったところをチャーリーに助けてもらい仲良くなりました。
ルーシーは、「活発で真っ直ぐ」と感じられる少女です。
リップマン少佐
アメリカ陸軍の特殊部隊「デルタフォース」の指揮官です。ALAのテロに対抗するために、チャーリーを利用しようとします。チャーリーの能力に興味を持ち、彼を「兵器」として扱おうとします。しかし、チャーリーの人間性に触れるうちに、彼に対する考え方が変わっていきます。
ゲイル
リップマン少佐の部下で、女性兵士です。チャーリーの護衛や監視を担当します。最初はチャーリーを「猿」と呼んで軽蔑していましたが、次第に彼に好意を抱くようになります。チャーリーとルーシーの関係にも嫉妬します。
デイヴィッド・グロスマン博士
チャーリーの生物学上の父親で、生物工学の権威です。かつてALAと関わりがあり、チャーリーの母親であるチンパンジーを人工授精した張本人です。しかし、その後は姿を消し、行方不明になっています。彼は「ダーウィン事変」と呼ばれる現象の原因を知っているとされています。
エヴァ
グロスマン博士の助手で、ALAのメンバーです。グロスマン博士が行方不明になった後も、彼の研究を続けています。彼女はチャーリーと同じく、「ヒューマンジー」であることを隠しています。彼女はチャーリーに協力を求めますが、その目的は不明です。
オメラス
ALAの創設者の一人で、リヴェラ・ファイヤ・アーベントとはオメラスを介し手を組んでいますが、あくまでオメラスを研究するためであり、ALAの思想・理念には賛同していません。グロスマン博士を探しています。
モリス
ALAのメンバーで、リヴェラ・ファイヤ・アーベントの部下です。チャーリーを拉致しようとしたり、テロ活動に参加したりします。しかし、リヴェラ・ファイヤ・アーベントからは信頼されておらず、裏切られることもあります。
サラ・ユァン博士
シュルーズ大学の教授で、生物学者です。ルーシーの母親エルドレッドとは友人です。ルーシーがチャーリーと仲良くなったことを知り、彼らに興味を持ちます。彼女は「ダーウィン事変」に関する研究をしており、チャーリーの存在に驚きます。
アンドリュー・ダウェンポート
シュルーズ大学の教授で、サラ・ユァン博士の同僚です。心理学者です。彼はチャーリーとルーシーに心理テストを行い、彼らの関係性や感情を分析しようとします。彼はチャーリーに対して、友好的な態度をとりますが、その裏には何か秘密があるようです。
まとめ
『ダーウィン事変』に登場する主要なキャラクターの特徴や能力、関係性などの紹介でした。チャーリーはどんな動物なのかという疑問にも答えましたが、実際には彼は人間でもチンパンジーでもなく、自分自身であることが分かります。彼は自分の居場所や存在意義を探しながら、人間と動物の生存権をテーマにした壮大な物語に巻き込まれていきます。
『ダーウィン事変』は、現代社会の問題に直面しながらも、「ヒト」と「ヒト以外」の境界を超えた絆や友情を描いています。登場人物たちもそれぞれ個性的で魅力的で、読者の心を惹きつけます。この漫画は、思考実験的でサスペンスアクションな作品ですが、同時に感動や笑いもあります。この漫画を読んで、チャーリーとルーシーの冒険に一緒に参加してみませんか?